くるまくるまくるま。

今日もなんもない一日で、日中はすることもない不安だけが募った。
天気がいいときに部屋でじっとするのが一番鬱な気分になるので、むりやり外に出たがすることがない。
しょうがないから昼2時ごろ、近くの中華料理屋で昼飯を食うことに。

若い高校生くらいの男の店員が皿洗いなんぞしているのを見ると、俺はバイトもせずなにやってんだと自嘲する気にもなったがしたたかに本を読んで気を紛らす22歳の若造はようやく自分は自分と開き直る余裕も出てきた。


最近は映画、とくに「男はつらいよ」にハマってる。渥美清が演じる車寅次郎、通称寅さんは葛飾柴又の団子屋の跡取り息子であるが、行商としてあてもなく旅をしては美しい女性に恋し、失恋を重ねる。昔の女優さんといっても若き吉永小百合さんをはじめマドンナ役はほんとに美人で、それもこの映画の見所だ。

しかし、なんといってもこの映画は人物の生き生きとした姿が印象的だ。寅さんのようなハチャメチャな人生は現実には自分は送ることができない。(たぶん、いやもしかしたらそうなるかも・・)しかし、今の現代人が定職によって得た安定と引き換えに自由に生きる寅さんは夢を見させてくれる。毎日楽しんで自由気ままに生きる喜びを。きっとこれは男じゃないと分からない世界ではないのか。


しかし寅さんは分かっているのだ。多くのものを得ると同時に失っている事を。
結局最後は女性に避けられるか寅さんが逃げ腰になって恋は実らず、いい人どまりで終わるのだ。
こつこつ地道に働いたものと結婚しろ、と寅さんは惚れた女にアドバイスする。そして寅さんは静かに去るのだ。寅さんを粋な男にしているのは、彼がワンパターンにも失敗し続ける純粋さが男から見てまぶしいからではないのだろうか。


寅さんのように自由に暮らすのも、こつこつ働くのも結局は選択しなくてはならない。
自分はこのままいくと医学生としてこつこつ勉強を重ね、仕事をしていくことになりそうだ。しかしそれと引き換えに自由を失ってしまう。満たされない願望を寅さんに投影し、表は仕事人として生きていく自分を演じきらないといけない相反する気持ちとうまく折り合いをつける時間として今の大学生活があるのか。実に苦しいものだ、もう少しでその時が来ることが分かっていながらなにもしないことというのは。


大学に入って3回目の春休み、ようやく人の多い日曜日に一人で外で飯が食べれるようになった私はいまだ外づらの作り方がへたくそです。寅さんのようにもっといつも楽観して生きれたらなー。
まあおおいにけっこう毛だらけ、猫灰だらけ、ケツの周りは糞だらけ・・ってね。