木枯らしに抱かれて
車内は汚れた部屋より落ち着くなあ。
まさに情景描写は心情描写である。
俺には自信を持って前向いて生きるものはあるか。
心から安心できる場所はあるか。
怒りと失望で何も動けないことになってはいないか。
すべては、一年間のもやの中と頭に拡がる陰鬱にまみれた未来が一歩を重くさせる。
生きる意味はあるんだろうか。
人前に出たくない。
この一年で恥ずかしさと自己批判にまみれ、失望に潰れる可能性だって大いにある。
劣等感しかない。
この男が選ばれ、請われて就職して働きに出れるか甚だ疑問である。
自信がないし、足元を見てうつむいて歩く。
これで生きていけるのか。
ぐちぐち言っていても、明日はやってくる。
それで失敗しても成功しても時間は過ぎていく。
なんてむずかしいのだろう。
直視しなかった現実は、汚れた部屋のように今も散らかったままだ。
こんな俺が、そう思う心にけりをつけれないまま春はやってくる。